紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所(三重県津市)
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 身近な「ため池」とその周辺に何種類のトンボがいますか?
                                 トンボの写真集へ

  ため池には、止水域を好むトンボが多く棲息している。周りにため池につながる小川があると流水域を好む種類が見られることもある。あなたの身近なため池とその周辺に、何種類のトンボを観察できますか?
 
  ため池にはどのくらいのトンボの種類が見られるのだろうか。「ため池の自然」という本の中で高橋氏は、トンボとため池との関係について、既に報告されたものを含めて次のように要約している。

(1)ため池は止水性トンボの重要な発生源である。
(2)トンボの種類や量は、自然度(地勢、池の構造、池内外の草本、水質等)に左右される。
(3)トンボの移動、分散と池の状態変化の両面から考えて、ため池が1km程の間隔で複数存在しネットワークを形成していることが必要である。
(4)水田も一時的水たまりと考えられ、トンボの普通種に利用されている。
(5)農村環境のビオトープ(ため池など)が、都市空間にトンボなど様々な生物を供給している。
(6)トンボの種数は、ため池の岸辺の草木の植被率と関係している。

  全国的にみるとトンボの名所として、高知県中村市にある「トンボ王国」、静岡県磐田市にある「桶ヶ谷池」、佐賀県佐賀市の「トンボ王国さが」などが有名だ。これらは、トンボをテーマに休耕田をトンボ池に変えたり、元々あった池の環境を保全したものである。

  一方、農業用ため池の生物多様性保全機能を知るためには、トンボの生息状況を調査し、その実態と調査場所の特徴を明らかにしていくことが必要だ。

 上記の本の中で、東海地方の様々な場所にあるため池で実際にトンボの種類が調査された例が示されている。それによると、5カ所以上調査がされた地域のデータを見ると、最多39種、最少1種、平均で10種〜37種であったと記されている。そして、30種程度に達しているならば、、その池と周囲の総合的自然環境は、一応の多様性を備えた良好なものと考えてよいと述べられている。この中で、三重県では上野市での調査が挙げられており、20ヶ所のため池の調査で、最多27種、最少5種、平均10種であった(石田、1980)とされている。

 また、大沼・土山(2007)は、トンボによる環境評価で、トンボの種類が40〜60種で「飛び抜けて良い池」、30種以上のため池は「良い池」、20〜30種では、「良い池に近い」、10〜20では「いくらか良い池」、10種未満は「良くない池」と評価している。

 トンボの種類を同定する(知る)ためには、はじめのうちは、採集をして検索図表で詳細に検討することが必要だ。少し馴れれば、類似種との識別箇所が分かるように写真を撮って確認することもできる。アカトンボ類では、翅の色、胸部側面や腹部の模様・形・色や交尾器等で、イトトンボ類では、頭部背面、胸部側面、腹部、交尾器等で確認できる。一眼レフデジタルカメラを持って、ため池にトンボの生態写真を撮りに行き、きれいに撮れるようになると、生物写真を撮ることが楽しい趣味になること請け合いです。特に、イトトンボ類はせっかく採集しても死んでしまうと変色してしまい、種を確認しにくくなるので、同定を意識して撮影した写真は重要だ。

  ため池を巡りながら、トンボの写真を撮りましたので、ご覧下さい。

(写真は、ハグロトンボ)
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